国際的な研究者を目指す
プラントシステム研究部門
渡辺 瞬
- 配管分岐合流部の流れ加速型腐食傾向の評価
- 高速かつ多次元で計測が可能な気液二相流ボイドセンサの開発
- 日本機械学会の減肉研究分科会における配管減肉モデルのベンチマーク評価
- 原子炉格納容器内の対流挙動評価研究
研究のやりがい
理論と実験が近づいていく面白さ
発電プラントを動かす水や蒸気の流れ。実験装置を使ってそれらを再現し、様々な計測を行って可視化し、発電プラントの内部で起きている現象を探っています。自分が考えた理論と、それにもとづく実験結果が、やればやるほど近づいていく。そこが研究の面白いポイントです。私の具体的なテーマのひとつが、配管減肉です。発電所の配管は、決められた以上の肉厚がないと使用できないため、徹底した肉厚検査が実施されていますが、日本では海外と比較し保守的な管理が行われていて、検査箇所は膨らみ、多くの時間や労力が充てられています。重点的に管理すべき点に多くのリソースがかけられるよう、配管減肉の評価予測モデルの高度化に取り組んでいるのです。
取り巻く環境
研究者のやりがいを生む風土
電中研には、「重要性」と「緊急性」の2軸から、研究者自らが主体的かつ計画的に研究活動ができる環境があります。研究成果に対するアプローチに自由度の高い風土は、研究者のやりがいに直結します。トップダウン型の組織では、「緊急性の高い仕事」に埋もれてしまいがちです。先を見据えた研究活動に手がまわりません。電中研は、ボトムアップ型の研究所ですから、重要かつ緊急な課題に優先的に対応しつつ、自らの裁量で、緊急性は高くないが重要な仕事に取り組むことができます。私自身でいうと、配管減肉評価等、電力会社のニーズに対して素早く成果を出すことが求められる研究活動の一方、学術論文の執筆等長期的な観点からの活動にも時間を割くことができています。
仕事の苦労
装置製作で自分の未熟さを痛感
発電プラントの複雑な流動条件を想定して実験を行うための、巨大な装置の製作を担当した時のことです。実験装置は電中研にとって貴重な財産となるものですから、とても神経を使いました。予算と時間の制約、そして他の業務がある中で、独自の実験装置を製作するのは簡単な仕事ではありませんでした。図面寸法の見落としで実験装置の配置スペースに余裕が無かったり、実験装置に必要な機能が事前に想定できていなかったり… 現場でてんやわんやしながら、上司に相談して製作業者と何とか折り合いをつけつつ、装置製作を進めました。上司のフォローアップによって事なきを得ましたが、自分の未熟さを痛感する体験となりました。
将来の目標
博士号の取得にチャレンジしたい
産業研究に関わっているからには、直接的に世の中の役に立つ成果を上げたいと考えています。たとえば配管減肉研究関連では、研究成果が民間規格へ反映されることを目標にしています。自分の論文が学会等で認められると、民間規格として電力会社がプラントを安全に運用する上での技術的なバックアップとなることができます。また、研究がそのようなレベルに達すれば、自分の研究者としての価値にもつながります。そして将来的には社会人博士課程の制度を利用して、博士号の取得にチャレンジしたいと思っています。海外の学会に参加すると強く感じるのですが、博士号というのは、研究者として国際的に活躍するためには是非とも入手したいパスポートなのです。
- 原子力プラントの配管破損時における外部影響評価研究
- 火力プラントにおける流れ加速型腐食起因の配管減肉評価研究
- 当所で開発した配管減肉モデルの高度化
- 原子炉格納容器の健全性評価研究